経理の目線で決算の見どころを身につけよう!
投資を始めるなら、経理の視点で見てみよう。
投資では、「ファンダメンタル分析」「テクニカル分析」といった話が出てきますが、企業のサービスや売上、利益がよければ中長期的に、株価が伸びています。
「投資の神様」などと言われるウォーレン・バフェット氏は投資で勝つための必須能力として4つ挙げているそうです。
- 財務会計や簿記の知識
(企業活動を知り、財務諸表を読みこなす力は不可欠だ) - ある程度の情熱
- 辛抱強さ
- 冷静さ
実は、投資の必須能力の内、
1番目に書かれている最も重要なものが
「会計知識」です。
実は、それ以外は3つは
「メンタル」なのです。
メンタルは人それぞれで違う場合もありますが、
知識は普遍的に身につけることが可能です。
最近の投資やFIREブームで証券口座(特にネット証券)の口座開設数は軒並み上昇しているそうです。
しかし、「株を買ってみたけど、落ちたし、損ばっかり、、、もうやめたいけど、損切したくない。」
と思っていらっしゃる方も出てきているかもしれません。
ただし、投資をギャンブルではなく、しっかり投資先の企業と向き合うことで「投資家」として進むことができれば、「ギャンブル」ではないことが理解できます。
投資をギャンブルにしないためには、
「投資」をする「理由」を考え、実行する必要があります。
そのために必要なものが、
「財務会計や簿記の知識」です。
ただし、投資をするために簿記をじゃあ勉強してください。
といっても、勉強するのは大変です。。。
そのため、簿記も取得しており、企業の開示業務を担当していた経験から、どこを見るとざっくり企業決算のポイントが分かるか、お話させていただければと思います。
会計知識ってなんだか難しそう。
と思っていらっしゃる方もいるかもしれませんので、実際の決算資料を見ながら会計の考え方を見ていきましょう!
決算資料の種類を把握しよう!
企業は1年間という単位で、企業の成績を発表する「決算発表」があります。
「決算発表」は1年間の「通信簿」のようなものです。
そして、企業の決算発表は1年間3ヶ月ずつ進捗を含めて報告する義務があります。
3ヶ月ごとの進捗の決算発表を「四半期決算」と言います。
よくこのような形で言われます。
1年間の決算
→本決算、年度末決算
3ヶ月ごとの中間発表
→第1四半期決算、第2四半期・・・
→1Q,2Q,3Q,4Q
(Q=quarterの略)
そして、上場企業は以下の決算資料を発表しております。こういった企業の発表のことを「開示」と言います。
決算短信
決算日より30日~45日以内で開示する決まりがある速報性の高い決算資料。
有価証券報告書・四半期報告書
決算短信より詳細な経営・経理状況などが開示される報告書。本決算時は「有価証券報告書」と言いそれ以外の3ヶ月決算時は「四半期報告書」と言う。
(提出期限)
有価証券報告書…3ヶ月以内
四半期報告書…45日以内
決算説明資料
企業が任意に作成する資料。決算説明会時に使用する資料を公開している企業が多い。
※他にもいろいろな資料を任意で開示している企業はたくさんあります。
四半期決算は、本決算と違い、報告書の内容が簡素になっています。なお有価証券報告書は企業によっては100ページを超えるものもあります。(これ、毎年作成をするのが、とても大変なんです。。。)
日本の企業の多くは3月決算という年度末に決算を迎えます。そのため、6月の決算報告がこの8月中旬までに怒涛のごとく発表されるわけです。
投資を始めたばかりの人も、大きなイベントが始まるよ。ということをイメージしていただければと思います。
決算確認の王道「決算短信」で確認し、「株探」で決算の推移を見てみよう!
決算資料の全体像を把握したら、次は「何を」見ればよいのか。です。
まずは「決算短信」の「表紙」を見ましょう!
「決算短信」は、いろいろな企業が同じフォーマットで報告することによって、比較しやすい形をとっています。そして、決算短信には「表紙」と言われている部分があります。
表紙には以下の情報が記載されています。
決算短信「表紙」
- 決算サマリー
└売上・利益など企業業績に重要な情報 - 配当の状況
└増配や減配など株主利益に寄与する情報 - 業績予想
└企業が考えている将来の売上・利益などの業績の情報
※開示していない企業もあります。
例えば、「ウマ娘」が盛り上がっているサイバーエージェントの表紙を見てみましょう!
1.業績・・・売上が前年対比+36%
→順調な伸び
営業利益が前年対比+171%
→爆益出ています。
2.配当・・・修正あり。配当予想を11円で予想を出している
→修正がある場合は別途以下のような開示書類が出ます。
1円増額されていますね。
3.業績予想・・・修正あり。
→前回の予想からかなり上方修正が入っています。
以上のように、決算短信をパッと見るだけで、
その企業の決算のタイミングでの状態が確認できることになります。
さらに決算の動きは、推移を見ることでより理解できるようになります。
そこで登場するのが「株探」の四半期決算の推移です。
通期も3ヶ月決算も現時点で最高の売上及び利益を獲得していることが分かります。
このように「決算短信」の表紙を確認し、「株探」で推移をみることで、決算が調子よいのかどうかを見ることができます。
企業の「決算説明資料」で決算自慢を確認しよう!
「決算短信」や「株探」にて業績をざっくり把握したら、
次はなぜ?このような業績になったのか。という理解が必要です。
そこで利用するのが、「決算説明資料」です。
決算説明資料は、企業が「任意」で決算発表の説明を記載する資料のことです。
さらにフォーマットや報告内容などの決まりはありませんので、企業が発表したいことを発表している資料になります。
※ぶっちゃけ、良いことは書いて、嫌なことは書かないということも可能です。
決算説明資料は、企業のIRページにて以下のような形でリリースされていることが多いです。
サイバーエージェントの場合、事業ごとの売上と利益の増減や要因が記載されています。
こちらの資料から、利益のほとんどは「ウマ娘」の売上なんだね。ということが明らかになります。
さらに、ゲーム事業の中身も資料があります。
売上ドーンッ!!!!利益ドーンッ!!!!
凄い伸びですよね。
このように、利益の凄い伸びが、サイバーエージェント全体の利益になっているのです。
こうして考えると、ウマ娘がさらに伸びていく期待感があれば、さらに伸びが期待できると思いますが、そうでない場合は、今後どこまで利益を維持できるか。という流れになります。
このように決算の良し悪しの詳細が、決算説明資料を確認することで明確になっていくので、気になった企業はどんどん積極的に見てみましょう!
なお、今回のサイバーエージェントの株価、、、、
ものすごい決算を発表したのですが、決算明けの株価はかなり下振れしております。
ここからウマ娘がどのくらい伸びていくか、という期待感は薄そうですね。
そのため、その期待感を裏切る結果が出ると、また注目されるかもしれません。
以上、今回は決算シーズンの業績の見方をご紹介させていただきました。
より深く見たい場合はさらにいろいろな視点がありますが、素早く業績確認したい方はこのような流れで決算資料を見ていくと良いと思います。