蘇りし織田信長で(ゲーム業界)で天下統一!?コーエーテクモホールディング
投資を始めるなら、企業決算を決算資料を実務で作っていた経理の目線で見てみよう。
第5弾は「コーエーテクモホールディングス」
時は天正10年6月2日(1582年6月21日)早朝、本能寺、
滞在中の織田信長は、家臣の明智光秀によって、自刃に追い込まれた。。。
全国統一の野望が、歴史上潰えてしまった織田信長
しかし、1983年、シブサワ・コウ氏により、現代によみがえった織田信長は再び天下統一を目指すのであった。
と、前振りは置いておきまして、
「コーエー(KOEI)」と言えば、なんといっても「信長の野望」そして、「三国志」という歴史シミュレーションゲームを生み出した会社です。
やったことがない方も、名前は聞いたことあるのではないでしょうか。
現在は、「コーエー」と「テクモ」が経営統合、その後ホールディングスとしてグループ経営体制になり「コーエーテクモホールディングス」となっています。
コーエーテクモホールディングス
(2021年7月現在)
資本金 150億円
時価総額 8,453億円
なんと、時価総額が現時点で
カプコン 8,300億円
スクウェア・エニックス 6,300億円
と現時点で上回っています。
株価はこのような形で上下を繰り返しながら徐々に高値更新していくような形です。
それでは決算を見ていきましょう!
40%⁉圧倒的営業利益率!
コーエーテクモホールディングスの決算を見ると、営業利益率が非常に高い事業構造になっているため、実際に見てみましょう。
決算説明資料になります。
過去最高!
素敵な響きですね。
会計用語の補足噛み砕き(ガブガブ)
営業利益:事業(本業)の儲け。いくら稼いだか。
営業利益率:売上高に対する事業(本業)の利益の比率。
60円で商品を作り、100円で売る場合、利益率40%となります。
目安として、業界平均は以下の通りです。
順位 | 業種 | 営業利益率(%) |
---|---|---|
1 | 不動産業・物品賃貸業 | 10.29% |
2 | 学術研究・専門・技術サービス業 | 10.03% |
3 | 宿泊業・飲食サービス業 | 5.19% |
4 | 建設業 | 4.81% |
5 | 情報通信業 | 4.45% |
6 | その他の業種 | 4.32% |
7 | 製造業 | 3.85% |
8 | 生活関連サービス業・娯楽業 | 3.72% |
9 | 運送業・郵便業 | 2.69% |
10 | 卸売業 | 1.77% |
11 | 小売業 | 1.50% |
【参考】中小企業庁|「『中小業実態調査 令和元年確報』3.売上高及び営業費用(1)産業別・従業者規模別表」
以上からわかる通り、
40%というのは圧倒的な経営効率を高めない限り、なかなかたどり着く数字ではありません。(業界の特性はありますが。)
素晴らしく儲けている企業であることが分かりますね。
参考までに、スクエニHDとカプコンとも比較してみましょう
こちらがスクウェア・エニックスHDの数値です。
真ん中の売上営業利益率を見ます。
営業利益率の実績は14.2%ですね。
そしてこちらがカプコンです。
営業利益率の実績は36.3%ですね。
カプコンもかなり高いです。
コーエーテクモの営業利益率の高さは業界絡みても高い水準ということが分かります。
この1年で売上と利益が大幅ジャンプアップ!その秘密とは。
ではコーエーテクモのここ3年間の各指標の推移を見てみましょう。
2021年3月期で見事に昇竜拳を出していますね。
売上1.4倍、経常利益2.1倍!
これが、最近注目されている理由になっているものと思われます。
では、何でそんなに上がったの?
売上の内訳を見ていきましょう。
コーエーテクモは、大きく3つの事業セグメントを表示しています。
見ていただくと分かりますが、
メインはエンタテインメント事業です。
こちらは、「信長の野望」や「三国志」などのゲーム関連売上となっております。
では、その内訳を見ていきましょう。
ここで見てわかるのが、なんといっても
「オンラインモバイル」の「スマホ・ソーシャル」売上が1.8倍になっていることですね。
そして、コーエーテクモは地域別売上とさらに地域ごとの販売本数も開示しています。
コーエーの売上の半分以上が、海外売上となっております。
また、アジアへの売上が非常に高いことが分かります。
一方増加率としては北米や欧州の伸びが顕著ですね。
こちら、非常に重要なデータです。
実は、国内のパッケージゲーム販売本数、オンライン・モバイルDL数は前年比で下がっているのです。
つまり、売上は海外の増加に注目していく必要があります!
また、このデータがあるとパッケージゲームとオンラインの売上単価が計算できます。
パッケージとオンラインの単価を見てみましょう。
売上高(百万円) | 本・DL数(千) | 1本・DL当たり 売上高(円) | |
パッケージ | 30,748 | 10,110 | 3,041 |
オンラインモバイル | 24,960 | 99,000 | 252 |
合計 | 55,708 | 109,110 | 511 |
それぞれの単価が見えましたね。
これは、新作ゲームやオンラインモバイルでどのくらい売れたか、どのくらいダウンロードされたかによって売上がある程度推測できる非常に重要な指標です。
※パッケージゲームごとに単価が違うのであくまでざっくりではありますが。しかし、オンラインの方は非常に参考になると思います。
ということで、今回のコーエーの売上アップの秘密は
海外売上にあるということが分かりました。
また、ゲーム業界は売れれば売れるほど、その分原価が増えないビジネスモデルのため、売れた分利益がどんどん積み増しされていきます。
やはり、海外は市場規模が非常に大きいですね。
歴史シミュレーションだけじゃない?ロングセラータイトル達。第1四半期の着地はどうなるか?
コーエーがどのようなタイトルを販売しているか。
HPにブランド別の紹介があります。
こちらはまさにコーエーといえばというタイトルですね。
また、ポケモンなどのコラボもしているそうです。(あまり話題になってない?)
なお「ファイヤーエムブレム風花雪月」という
〇〇無双シリーズですね。
わたしも当時三國無双でバタバタ薙ぎ倒す爽快感を楽しんでいました。
呂布を倒そうとして何度も返り討ちされましたね💦
「仁王」という全世界の累計販売本数500万本を突破したアクションゲームタイトルが話題になり、好調でした。
また、男性のゲームユーザーさんならお馴染みかもしれません。女の子同士が殴り合う格闘ゲーム「DEAD OR ALIVE」これは、相手を倒すと衣装が破れるという仕様で、男性の根強いファンがいるような気がします。
そして、〇〇のアトリエシリーズもコーエーで作っています。
この他にもアンジェリーク、といった女性向けのタイトルなども保有しており、
若年層よりは少し年齢層高めの男性・女性ファンが多いかと思います。
では、4〜6月の実績を少し想像してみます。
まずはオンラインの売上から
同じみGame-iさんの資料を参考にしてみます。
こちら、前期と比べて、1Qの売上予測が予測がさらに上がっていることが見えます。
少なくとも、前回の3月末決算よりも販売が好調であると考えられます。
特に「三国志」の2タイトルが堅調に推移しているようですね。
そのため、引き続き、6月末決算のオンラインは増加傾向になると思われます。
またパッケージタイトルでは6月に「戦国無双5」が発売されました。
Switchのゲームがほとんどの売上ランキングを占める中、
PS4、Switchどちらも合わせると、任天堂の「マリオゴルフ」を超える販売本数になっていることが分かります。
PS4の売上の方が高いことから、コーエーのブランドはよりゲームが好きなユーザーにウケるタイトルであることも分かりますね。
オンライン、パッケージともに1Qは好調な滑り出しを見せていると思います。
戦国無双の1週間の売上は以下となります。
戦国無双 売上 | PS4 | Switch | 合計 |
販売本数(本) | 55,675 | 38,691 | 94,366 |
単価(円) | 7,800 | 7,800 | 7,800 |
売上(千円) | 434,265 | 301,790 | 736,055 |
売上だけで見る7億ほどの売上影響のため、コーエーテクモとしてはもっと売上を伸ばしていきたいところではあったかと想定します。
そのため、パッケージゲームはやや想定より厳しい。
一方で売上を伸ばしているオンラインゲームがさらに好調な推移。
ということで着地するかもしれませんね。
ということで
今回は「コーエーテクモホールディングス」を取り上げてみました。
ここまでご覧いただきありがとうございました。
今後も気になった企業の分析をしていきますので、お気に入りやSNSのシェアなどしていただけるとうれしいです。
※将来の決算についてあくまでも仮説の一つになっておりますので、鵜呑みにしないようご注意いただければ幸いです。